地球に良いことを——私の仕事観を変えた出来事
株式会社住工房スパイス 代表取締役 鈴木八十八
一通のメールから始まった、「地球に良いこと」を考える物語
とある白髪紳士のお客様から届いた一通のメールが、私の仕事観を大きく変えました。
「微力ながら地球に良いことができるかな。」
その一文に込められた想いは、ただのリフォームの相談ではなく、“地球の未来を想う優しさ” でした。
私はその方との出会いと別れから、リフォームという仕事の本当の意味を考えるようになりました。
「地球に良いこと」とは何か。
「人の暮らしを良くすること」と「地球の環境を守ること」は、両立できるのか。
やがて、そのお客様の想いを受け継ぐように、私は自らの事業を 地球温暖化対策リフォーム(エコリフォーム) へシフトしていく決意をしました。
このブログでは、その原点となったWさまとの想いと、
「地球に良いことが出来るかな」という言葉が、住工房スパイスの理念になった理由をお伝えします。
きっかけは、一通のメールから
きっかけは、一通のメールから
2023年2月10日、私のもとに一通のメールが届きました。
差出人は、2015年に大規模リフォームをご依頼くださったWさま。
内容はこうでした。
鈴木様
〇〇(地名)のWです。
さて、今日メールしたのは、ソーラーパネルと、蓄電池の設置、玄関ドアの更新、基礎の爆裂防止などなどをお願い致したいと思いまして。
是非とも、取りまとめを信頼のおける鈴木さんにお願いできないかなと。
予算は〇〇万円ほどを見ております。
ソーラーと蓄電池は、不意の停電に備えるためと、微力ながら地球に良いことができるかなと。
玄関ドアはパッキンが劣化して、雨降りには内部に滲みてくるようになってしまいました。
パネルは出来るだけ多く載せて、発電量を増やしたいですね。
その際の屋根の耐荷重は十分か。
蓄電池は10kw程度のもの。
停電時に瞬時に切り替わること(宅内全配線)
発電した電気の用途については、蓄電池への充電>宅内消費>電力系統への売電の優先順が希望です。
また、夕方になって発電量が減少してきたら、蓄電池から放電させる(残量半分くらいまで使用?)
などが出来たら理想的かなと思います。
一度、会ってご相談したいと思います。
鈴木さんのご都合のよい日に、合わせたいと思います。
よろしくお願いいたします。
以上
“地球に良いこと”という言葉がとても印象的で、心に残りました。
家を大切にするのはもちろん、損得の観点ではなく、“地球を想うリフォーム”という視点を持たれていることに感動したのです。
穏やかな笑顔と、
「地球に良いことができるかな」という言葉
穏やかな笑顔と、
「地球に良いことができるかな」という言葉
後日、Wさまのお宅を訪ねると、以前と変わらない穏やかでやさしい笑顔で迎えてくださいました。
「私にも何か地球に良いことができるかな。」
打合せの途中でも、その印象的な言葉を何度も繰り返されていました。
見積りや仕様確認のため、何度かメールのやり取りを重ねるうちに、返信まで少し時間がかかるようになりました。
少し違和感を覚えつつ、お忙しいのかな…と思いながら何度かメールをやり取りしていると、届いたメールにはこう書かれていました。
『ただ今体調不良で入院中です。』
数週間前にお会いした時には、相変わらず穏やかな笑顔のWさまだったので、特に心配もしていませんでした。
メールでWさまは、工事内容について丁寧にご意見をくださり、前向きなお言葉を添えてくださいました。
病室で交わした、最期の約束
病室で交わした、最期の約束
その後、数通のメールを交わすうちに、こんなメールが届きました。
『見積って頂いたものは必ず施工して頂きます。もう退院は出来ないかもしれませんが、後のことを託せるひとにお願いしておきます。』
私の頭の中を『???』が飛び交いました。
少しするとその『?』が涙になって頬を伝いました。
契約書を交わすためにアポイントを取り、病院にうかがうと、1か月ほど前とは別人のように、車いすに乗ったやせ細ったWさまの姿がありました。
少し予想はしていたものの、その姿にかける言葉も見つけられず、事務的に契約書を交わしました。
「責任をもって一生懸命工事を完成させますので。ありがとうございました。」としか言えない情けない自分。
すると、小さいけれど力の込もったやさしい声で、Wさまは確かにおっしゃいました。
「地球に良いことが出来るかな…」
それからおよそ10日後、ご家族からのお電話で、Wさまが亡くなられたことを知りました。
末期のがんだったそうです。
託された「地球に良いこと」。受け取った「想い」。
託された「地球に良いこと」。受け取った「想い」。
死期を悟ってなお、地球のことを考えていたWさま。
最期に書いた文字は、『地球に良いこと』を私に託した契約書のサイン。
最期に交わした会話は、「地球に良いことが出来るかな…」。
素敵な人に出会えたことに感謝しつつ、今ここに生きている私も自分なりに考えてみました。
「何か地球に良いことが出来るかな?」
その私なりの答え(応え)として、窓断熱リフォームやエコリフォームなど、25年以上携わってきたリフォームを通して“地球に良いこと”を追求する専門店へとシフトしていくことにしました。
一人でも多くの方に共感していただけると、地球もWさまも喜んでくれると思います。
令和5年11月11日
株式会社住工房スパイス 代表取締役 鈴木八十八